個人事業の不動産賃貸を法人化するメリット

1.所得が増加すると法人税率が所得税率より小さくなる点
不動産所得が低い段階では個人の税額がより少なく、所得が高くなると法人の税額が少なくなる点がポイントです。所得金額600万円を境として、法人の税率が個人と比較して低くなります。これは所得税が累進課税方式、法人税が比率税率を採用しているからです。
2.所得分散による税額総額の減額
個人経営者に所得が集中すれば前述の累進課税方式により高い税率で課税されます。専従者給与による所得分散を行っても限度があります。
しかし法人では個人所得を給与所得とすることによって所得控除分の所得税が軽減されたり、家族に給与を分散することで全体としての所得税も軽減されます。
3.経費の範囲が広がる
法人では年金、健康保険などの社会保険料の半分が会社負担により損金扱いできるほか、一定の条件を満たした生命保険や損害保険の保険料は会社の損金にすることができます。個人事業と比較して、損金扱いできる経費の範囲が広がります。
4.給与の範囲が広がる
家族に対する給与(役員報酬)は個人事業による専従者給与と比較すると自由度が広がります。これは法人の役員報酬は会社の利益や他の同一業種の給与水準等の比較により決めることができるからです。
5.損失が9年繰り越せる
個人事業の場合の損失の繰越は損失が出た年の翌年以降3年間と定められていますが、法人は9年間認められています。
6.相続対策となる
前述の家族による所得分散効果に起因し、個人事業者の資産の蓄積を抑制することから、相続税の増加を防ぐことができ、家族に分散した所得により相続税の財源を作ることができます。

 

※本テキストは平成30年1月1日現在の税制を基準としています。個別具体的には所得控除や実効税率の地域差、法人の資本金等にも影響されますので税理士等の専門家にご確認ください。