
個人でアパートや貸家などを所有していると、賃貸収入の増加や、ご家族への引継ぎをきっかけに「法人化した方がよいだろうか」と考えることがあります。飯田市・近郊で賃貸経営をされている方へ、法人化で検討できる6つのメリットと、判断する際の注意点をご紹介します。
税率だけでなく、家族全体の負担と将来の経営を考えましょう。
法人化には税負担や事業承継の面で利点が生じる場合があります。一方、設立・維持の費用や社会保険料の負担も確認する必要があるため、個人のまま続ける場合と、数年先までの収支を比較することが大切です。
最初に「どの方法で法人化するか」を確認
不動産を法人が所有する方法と、個人所有のまま法人が管理業務を担う方法などでは、収入の帰属や費用が異なります。会社を作るだけで、個人の家賃収入がすべて法人の収入になるわけではありません。
個人の所得税は、課税所得が増えるほど税率が高くなる仕組みです。法人では資本金や所得などに応じた法人税率が適用されるため、収益が増えた段階で法人化を比較する意味があります。
ただし、「所得600万円を超えれば法人化が有利」と一律には判断できません。不動産以外の所得、所得控除、役員報酬、法人・個人それぞれの地方税や社会保険料、会社を維持する費用まで含めて試算しましょう。
個人に所得が集中する場合、法人から本人や家族へ給与・役員報酬を支給する設計によって、家族全体の税負担が変わることがあります。給与を受け取る側では、給与所得控除の仕組みも関わります。
家族への給与は、実際に行う仕事や役割、金額の妥当性を踏まえて考える必要があります。名義だけで所得を分けたり、自由に利益を移したりできる仕組みではありません。受け取る家族の税金や社会保険への影響も確認します。
法人では、業務に必要な支出や会社が負担する社会保険料などについて、要件に沿った税務処理を行います。役員・従業員の保障や福利厚生も、事業の継続を見据えて検討できます。
ただし、生命保険料は契約内容や受取人などによって、損金となる場合、資産計上が必要な場合、給与として扱われる場合があります。法人なら何でも経費になる、ということではありません。社会保険料も、損金にできることと現金の負担が減ることは分けて考えましょう。
法人では、経営を担う役員と業務を行う従業員の役割を整理し、それぞれに応じた報酬・給与を考えられます。家族で賃貸経営を続ける場合も、仕事の分担と報酬を明確にする機会になります。
一方、役員報酬を損金に算入するには、定期同額給与などの要件があります。利益に応じていつでも自由に増減できるわけではなく、不相当に高額な部分などは損金に算入できません。金額、支給方法、必要な届出を税理士と確認して決めましょう。
法人の青色申告による欠損金は、平成30年4月1日以後に開始する事業年度で生じたものについて、一定の要件のもとで10年間の繰越控除が認められています。青色申告や継続した申告、帳簿書類の保存などが必要です。
個人の青色申告による純損失の繰越は、通常、翌年以後3年間です。ただし、災害に関する特例や、不動産所得の赤字に関する制限もあるため、個別に確認が必要です。
繰越控除は、税務上の損失を将来の所得から控除する制度です。赤字分の現金が戻る制度ではないため、資金繰りも別に考えましょう。
家族の役割と報酬、将来の経営者、資産の持ち方を整理することで、賃貸事業の引継ぎや納税資金の準備を計画しやすくなる場合があります。
ただし、法人化しても相続税がなくなるわけではありません。会社の株式・出資なども相続の対象となり、その評価が必要です。不動産を法人へ移す費用や、誰が会社の経営権を引き継ぐかも含めて検討しましょう。
家賃収入だけでなく、経費を差し引いた所得と、実際に手元に残る資金を分けて比較してください。税理士への相談時は、直近の申告書、賃貸物件ごとの収支、借入残高、今後の修繕予定、家族の働き方などを用意すると検討を進めやすくなります。
賃貸経営の将来を考える際は、法人化だけでなく、不動産をどのように保有・活用し、引き継ぐかも大切です。当社では、不動産の売買や活用についてのお考えを伺い、必要に応じて専門家への橋渡しをお手伝いします。
法人化の税額試算、役員報酬の設計、申告などの個別税務は税理士にご確認ください。物件購入のご相談は当社取り扱い物件について承ります。
企業紹介・代表者略歴
※2026年10月1日に確認した公的資料に基づく一般的な説明です。適用される制度は事業年度や個別条件で異なるため、実行前に最新の制度とご自身の場合の税額・費用を専門家に確認してください。
国税庁:法人の欠損金の繰越控除 / 国税庁:役員に対する給与
※本テキストは令和8年10月1日現在の税制を基準としています。個別具体的には所得控除や実効税率の地域差、法人の資本金等にも影響されますので税理士等の専門家にご確認ください。
