飯田未来デザイン2028(平成28年12月)~飯田市HPより~
リニアがもたらす大交流時代に「くらし豊かなまち」をデザインする
~合言葉はムトス 誰もが主役 飯田未来舞台~
私たちは、常に時代の変化に対応し、私たちの知恵と力を結集させ、りんご並木に代表される 自主自立の精神を基に、特色ある地域自治や環境への取組、経済自立度向上への挑戦など、飯田
独自の仕組みをつくりだしてきました。
飯田の未来づくりには、一人ひとりのムトスが大切で、それぞれに役割があり、そのどれもが欠かせないものです。
リニアがもたらす大交流時代を見据え、改めてムトスを合言葉として、いきいきと、「くらし豊かなまち」と自らの思いをデザインできる、誰もが主役の「飯田未来舞台」をつくります。
「ムトス」とは
「ムトス」とは、広辞苑の最末尾の言葉「んとす」を引用したもので、「・・・しようとする」という意味であり、行動への意思や意欲を表す言葉です。
飯田市は昭和57年「10万都市構想」において理想とする都市像の実現に向けての行動理念として「ムトス」を使用しました。平成19年4月1日施行の飯田自治基本条例にもムトスの精神について謳われています。「ムトス」を地域づくりの合言葉に、私たち一人ひとりが持つ「愛する地域を想い、自分ができることからやってみよう」という自発的な意志や意欲により、具体的な行動で地域づくりを目指していくものです。
未来ビジョン
これまで飯田が培ってきた文化によって、飯田ならできる、飯田だからできる、みんなでつくりたい「くらしの姿」「まちの姿」を8つの姿として描きました。
~目指すまちの姿~
● 都会との時間距離が大幅に短縮され、豊かな自然環境や文化の中で、都会での仕事と飯田での農あるくらしを両立し、質の高い地域コミュニティの中で人と人とのつながりを感じながら、家庭や地域も大事にしていける「私らしいくらしのスタイル」をつくって楽しんでいます。
● 日常生活文化圏を共有している南信州地域や三遠南信地域などの広域的な地域連携の取組が進み、くらしやすさを実感しています。
● 国内外からの移住者が増え、その一人ひとりが人権に配慮し、社会の一員として積極的に地域活動に参加し、交流を深めて担い手になっています。
● 中心拠点、広域交通拠点、観光拠点がつながり、住む人をやさしく包み、国内外から来る人をあたたかく迎え入れています。
● 災害に強い社会基盤の確保と、最悪のシナリオの予測と備えにより、市民の生命、財産が守られています。
● 情報通信基盤の安定的な整備と飯田の強みである人と人とのつながりにより地域の中で一人ではないと実感し、穏やかに安心して暮らしています。
● これまでの経験や全国各地で発生する災害から、あらゆる対応策などを学び、知識・行動ノウハウを持った市民が育成されています。
● 多世代の交流のつながりや一人ひとりの知恵や力をいかせる緩やかで程よいコミュニティにより、誰もが障がいのあるなしにかかわらず、社会と関わり地域に貢献しながら、支えられ、見守られ、生涯を通じて自分らしい健康な生活を送っています。
● 市民、民間事業者、行政のつながりによる「医療・介護、福祉の連携体制」と「地域を支える医療環境」が整えられ、高齢になっても安心したくらしを送っています。
● 一人ひとりの好奇心に対応する様々な学びの場に多くの老若男女が集い、自分や地域の将来を考える活動に関わっています。その姿に学び、子どもたちもまちづくりに積極的に提案・行動し、社会の一員として地域に貢献しています。
健やかにいきいきと暮らせるまち
学びあいにより生きる力と文化を育むまち
人と人がつながり、安全安心に暮らせるまち
私らしいくらしのスタイルを楽しむまち
● 飯田の学びの伝統をいかした人づくりにより、地域に誇りを持った人財が飯田や世界を舞台に活躍しています。
● 人形劇や伝統芸能に様々な立場で関わる人の想いが地域につながりを生み、文化活動を大切にする心が世代を超え受け継がれています。
● 一人ひとりが楽しくスポーツに親しみ、人や地域が活力にあふれています。
● 豊かな自然や文化、特色のある充実した教育や医療のある環境の中で、親が子育てに自信を持ち、地域もみんなで子育ち・子育てを見守り、支え、応援し、地域に子どもの笑い声が広がっています。
● 子育てと仕事の両立支援により、保護者が安心して就労できる環境が整備され、家族みんながいつも朗らかに暮らしています。
● 一人ひとりが身近にある豊かで貴重な自然の恵みを実感し、市民自らが考え、行動する環境活動によって、地球にやさしいくらしを実践しています。
● 気候変動の影響による自然災害、生態系全般への影響、健康への被害、農作物への影響を緩和し、適応していく取組が進んでいます。
● 多様な産業の発展とともに新産業の創出や地域産業の高付加価値化への挑戦を応援し、世界に発信できる地域ブランドがつくられています。
● 特色ある地域産業の発展により、新たな雇用が創出され、若者の地元回帰や定着化が進み、地域産業の担い手として飯田を舞台に活躍しています。
● 「人的ネットワーク」をベースにした「知の拠点」で、様々な研究開発が行われ、国内外に新たな価値を発信しています。
● 地域固有の自然や文化が持つ価値をみんなが認め合い、それらが大切に保存継承され、地域づくり、人づくりにもいかされています。
● 地域を思う気持ちを大切にして、自分の住む地域に誇りと愛着を持ち続けることで、地域の価値が再発見され、個性となっています。
● その一つひとつの個性を互いに高め合いながら、飯田の魅力に磨きをかけています。
地域の応援で子育ての幸せが実感できるまち
人と自然が共生する環境のまち
地域の誇りと愛着で 20 地区の個性が輝くまち
持続的で力強く自立するまち
人口ビジョン
飯田市人口ビジョンは、現状の人口動向の分析を踏まえて、私たちが将来どのようなくらしをしたいかを議論し、30 年先を見据えた 12 年後の理想の地域像を描き、30 年後と 12 年後の人口規模を定住人口と交流人口の2つの側面から示します。
人口の将来展望
(ア) 定住人口
社人研推計によると、飯田市の総人口は12年後の平成40年(2028年)に約91,000人、30年後の平成57年(2045年)に約75,000人になると推計されていますが、子どもを産み育てやすい環境をいかした若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる政策や、飯田独自のライフスタイルの提案による新たな人の流れづくりなどに積極的に取り組み、平成40年( 2028年)は約96,000人、平成57年(2045年)は約91,000の人口を維持することを目指します。
(イ) 交流人口
平成26年(2014年)現在、休日の滞在人口率※3は1.44倍(滞在人口※2151,000人)ですが、山・里・まちの魅力を効果的に引き出す観光振興施策等の取組や、リニア開業に伴う都市部との時間距離の大幅な短縮をいかした、飯田の魅力発信による交流人口拡大の政策効果により、休日滞在人口率を平成40年( 2028年)は1.62倍(休日滞在人口156,000人)、平成57年( 2045年)は2.00倍(休日滞在人口182,000人)まで引き上げ、定住人口の2倍の人が行き交うまちを目指します。
基本的方向(4年間)
基本的方向は、「目指すまちの姿」の実現に向けて、平成29年度(2017年度)から平成32年度(2020年度)までの4年間で重点的に取り組むテーマとして、次のとおり基本目標を掲げます。
また、基本目標に基づいて、「戦略計画」を立案し、毎年見直しながら事業を展開します。
基 本 目 標
1 若者が帰ってこられる産業をつくる
2 飯田市への人の流れをつくる
3 地育力が支える学び合いで、生きる力をもち、心豊かな人材を育む
4 自然と歴史を守りいかし伝え、新たな文化をつくりだす
5 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
6 「市民総健康」と「生涯現役」をめざす
7 共に支え合い、自ら行動する地域福祉を充実させる
8 新時代に向けたこれからの地域経営の仕組みをつくる
9 個性を尊重し、多様な価値観を認め合いながら、交流する
10 豊かな自然と調和し、低炭素なくらしをおくる
11 災害に備え、社会基盤を強化し、防災意識を高める
12 リニア時代を支える都市基盤を整備する
基本目標1
若者が帰ってこられる産業をつくる
<戦略(考え方)>
〇地域産業の持続的発展に資する研究開発力の強化を図るとともに、新産業の創出、地域産業の高付加価値化への挑戦を支援します。
〇長野県や南信州広域連合などと連携協調し、地域の産業拠点としての「産業振興の知の拠点」整備を推進します。
〇地域産業の将来を支える担い手・起業家の育成に取り組みます。
基本目標2
飯田市への人の流れをつくる
<戦略(考え方)>
〇リニア中央新幹線の開業や三遠南信自動車道の全線開通による新しい交通網時代を見据 え、世界に誇れる多様なライフスタイルの提案により、移住者の増加を目指します。 〇この地域を訪れる人を増やすため、国内外から多くの人を惹きつける魅力づくりに取り組 みます。 〇地域の魅力をさらに磨き上げて地域ブランドを構築するとともに、地域の魅力をプロモー ションします。 〇リニア中央新幹線長野県駅を見据えたまちづくりにおける、中心拠点としての中心市街地 の魅力づくりを推進します。
基本目標3
地育力が支える学び合いで、生きる力をもち、心豊かな人材を育む
<戦略(考え方)>
〇地育力(地域の資源と人材)を活用した飯田らしい小中連携・一貫教育と多様な学習交流 を推進し、リニア時代を生き抜く力(主体性・柔軟性・協調性・コミュニケーション力・ グローバルな発想力とローカルな視点での行動力・倫理観)を培う人材を育みます。
基本目標4
自然と歴史を守りいかし伝え、新たな文化をつくりだす
<戦略(考え方)>
〇「伊那谷の自然と文化」をテーマとした学術研究、教育普及、保存継承、活用創造の取組 を、行政・教育機関の連携と、市民研究団体及び地域組織等との協働により、総合力を発 揮して推進します。〇「地域振興の知の拠点」の形成を目指します。
基本目標5
若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
<戦略(考え方)>
〇産み育てたいと思う子どもの数の理想実現に向けた環境づくりを進めるとともに、子育て が孤立しない環境づくりと、地域の応援による子育てや見守りができるまちづくりを進め ます。
基本目標6
「市民総健康」と「生涯現役」をめざす
<戦略(考え方)> ○市民一人ひとりが、心身ともに健やかに暮らすことで、家族や地域がいきいきと輝き続け られます。市民(個人・家族)、地域(団体・機関等)、行政(専門職)等の多様な主体が 一緒になって役割を発揮し、健康寿命が延伸されるまちをつくります。
基本目標7
共に支え合い、自ら行動する地域福祉を充実させる
<戦略(考え方)>
〇地域福祉活動の実践者である住民や地域活動組織が、多様な主体との協働で培ってきた活 動実績(資産)をベースに、様々な制度や社会福祉事業者、民間事業者などと一緒になっ て「共助」を実践できるよう支援します。 ○地域活動組織などの育成にあたっては、「身近な成功事例の積み重ね」が共有できる視点 を大切にしていきます。 ○住み慣れた地域での生活が続けられるよう、地域福祉活動と地域包括ケアシステムとの連 携を進めます。
基本目標8
新時代に向けたこれからの地域経営の仕組みをつくる
<戦略(考え方)>
〇少子化、高齢化、人口減少が進む中で、すべての地域住民が主体的に活動し、いつまでも 地域のくらしと自治を運営していけるように、「新時代の地域経営」の仕組みを構築しま す。 ○地域が内発的に発展することを目的に、地域課題を解決する実行部隊の立ち上げ、運営の 支援を行うとともに、多様な主体が連携した仕組みづくりを進めます。
基本目標9
個性を尊重し、多様な価値観を認め合いながら、交流する
<戦略(考え方)>
〇市民の誰もが主体的に参画できる「多様性をいかした地域づくり」に向けて、人権と個性 を尊重しつつ共に生きる人づくり・環境づくりを進めます。
基本目標 10
豊かな自然と調和し、低炭素なくらしをおくる
<戦略(考え方)>
〇様々な環境教育や環境学習を展開するとともに、適切な環境情報を提供することで、よ り高い市民意識を醸成し、環境美化活動、自然環境保全活動、低炭素なくらし、低炭素 な企業活動を推進します。 〇地域環境権を活用した再生可能エネルギーによる持続可能な地域づくりを全市に拡大す ることで、地域全体として低炭素な社会を構築します。
基本目標 11
災害に備え、社会基盤を強化し、防災意識を高める
<戦略(考え方)>
〇自助、共助を支援する環境の整備に取り組み、安全安心に暮らせるまちを目指し、市民 が備える防災力の向上、地域で取り組む防災・減災のまちづくり、情報伝達・収集機能 の充実に取り組みます。
基本目標 12
リニア時代を支える都市基盤を整備する
<戦略(考え方)>
〇リニア中央新幹線の整備効果を地域振興にいかすため、その基盤となるリニア駅周辺、座 光寺スマートインターチェンジの整備を市民合意形成や協議のプロセスを重要視し、生活 環境や自然環境への配慮を踏まえ着実に進めます。 〇リニア時代を見据えた地域公共交通と情報基盤の整備を進めます。